自己破産でNISAは処分対象、iDeCoは保護される?違いと注意点【2026年】
結論:iDeCoは守られ、NISAは処分対象になり得る
自己破産になったとき、iDeCoとNISAはどう扱われるのでしょうか。結論から言うと、法律の根拠があるのはiDeCo側で、NISA側は「特別な保護がない」という整理です。ただし、守られるのはiDeCoの「給付を受ける権利」であり、受け取って預貯金になったお金や、国税の滞納処分には例外があります。破産手続の種類や個別の事情によって、結論が変わる可能性もあります。
| iDeCo(個人型確定拠出年金) | NISA | |
|---|---|---|
| 自己破産のとき | 給付を受ける権利は差押え禁止。原則として手元に残る | 株式・投資信託は財産として扱われ、破産管財人が換価(売却)する対象になり得る |
| 根拠 | 確定拠出年金法 第32条 | 破産法 第34条(破産者の財産は原則すべて破産財団) |
| 守られない例外 | 老齢給付金・死亡一時金は国税滞納処分による差押えが可能。受け取って預貯金になったお金は別 | 非課税口座であることは保護の理由にならない |

iDeCoが守られるのは「給付を受ける権利」
確定拠出年金法の第32条は、給付を受ける権利は譲り渡したり、担保に入れたり、差し押さえたりできないと定めています。破産法では、差押えが禁止されている財産は原則として破産財団(債権者への配当に回す財産)に入りません。そのため、iDeCoの積立金に対する権利は、自己破産をしても手元に残ります。
ただし、守られるのは、あくまで「給付を受ける権利」です。ここは少し分かりにくいので、2つに分けて整理します。
- 受け取って預貯金になったお金:給付金として口座に入金されたあとは、通常の預貯金と同じ扱いです。まとまった額が口座にあれば、破産手続の中で処分の対象になり得ます。
- 国税滞納処分:第32条には例外があり、老齢給付金と死亡一時金を受ける権利は、国税滞納処分(その例による処分を含む)による差押えが認められています。税金や社会保険料の滞納がある場合は、iDeCoも差押えの対象になる可能性があります。
NISAは「非課税」でも守られない
NISAは運用益が非課税になる制度であって、差押えや破産から資産を守る制度ではありません。破産法では、破産者が手続開始時に持っている財産は、原則としてすべて破産財団に入ります。NISA口座の株式や投資信託も、自分名義の財産として破産管財人の処分対象になり得ます。確認できた範囲では、NISAにiDeCoのような差押禁止の規定は見当たりませんでした。
なお、すべての財産が取り上げられるわけではありません。法務省の資料によると、99万円までの現金や、差押えが禁止されている財産、手続開始後に新たに取得した財産は「自由財産」として手元に残ります。預貯金や保険の解約返戻金などは、一定額以下なら回収しない運用をする裁判所もありますが、基準は裁判所ごとに異なります。
iDeCoのメリット・デメリット
掛金の所得控除や運用益の非課税といったメリットと、60歳まで引き出せない・手数料がかかるといったデメリットは、iDeCoの仕組み・メリット・デメリットをまとめた記事で整理しています。2026年12月からの拠出限度額の引き上げは、iDeCoの拠出限度額が2026年12月に引き上げの記事にまとめています。
まとめ
自己破産では、iDeCoの給付を受ける権利は差押えが禁止されて守られ、NISAの株式・投資信託は破産管財人の処分対象になり得ます。ただし、iDeCoも受け取って預貯金になれば対象になり、国税滞納処分では差押えの可能性があります。「iDeCoなら絶対安全」ではない点に注意してください。
とはいえ、破産対策としてiDeCoかNISAかを選ぶ話ではないでしょう。iDeCoは節税効果が大きい反面、原則60歳まで引き出せません。NISAはいつでも売却できます。目的と使い道の時期に合わせて使い分けるのが基本です。NISAとの使い分けを考える前に、iDeCoの仕組みを確認したい人は、iDeCoの仕組み・メリット・デメリットの記事を見てください。
2027年1月に始まる子ども向けの枠については、こどもNISAの始め方で整理しています。
更新履歴
- 2026年10月12日:保護されるのは「給付を受ける権利」であることと、個別の事情で結論が変わる可能性を冒頭に明記
- 2026年10月12日:12月の拠出限度額の引き上げと節税額の試算を別記事に分け、自己破産の内容に絞った
- 2026年10月12日:初版公開






