キオクシア決算は10月30日。信用買残と予測・戦略を決算前に整理【2026年10月】
キオクシアホールディングス(285A)の決算発表が、2026年10月30日に迫っています。株価は6月の高値から大きく下がり、信用買残は積み上がったままです。決算前の2026年10月28日時点で、見通し・信用残・需給材料・戦略を整理します。
決算の日程
- 決算発表日2026年10月30日(金)18時45分ごろ(日経ヴェリタスの報道。従来の15時30分ではない)
- 対象2027年3月期 第2四半期(4〜9月期)
- 同日自社株買い(上限8,000億円)の取得期間の最終日(8月3日〜10月30日)
夜の発表なので、株価の反応は次の営業日の寄り付きに出ます。決算では10〜12月期の業績予想も同時に出るため、過去の数字より、この先行きのほうが株価を左右しそうです。
会社見通しと市場の期待
会社は2026年7月31日に、7〜9月期の見通しを次のように出していました(4〜6月期の実績は売上収益1兆7,671億円、営業利益1兆2,700億円)。
| 項目 | 7〜9月期の会社見通し |
|---|---|
| 売上収益 | 2兆3,900億円(前四半期比+35.2%) |
| 営業利益 | 1兆8,900億円 |
| 親会社帰属の四半期利益 | 1兆2,700億円(前年同期の約31倍) |
市場はこの数字をすでに織り込んでいるため、達成だけでは材料になりにくいでしょう。ハードルが高いのは10〜12月期です。日経ヴェリタスによると、市場は純利益を前年同期の約18倍、約1.5兆円と見ています。会社の見通しがこれを下回れば失望、上回れば好感されやすい構図です。
株価は高値から約65%下落
株価は6月22日に、分割後換算で終値36,233円の最高値をつけました。10月27日は12,605円で、約65%安(時価総額は約20.8兆円)です。

終値は25日線(約16,100円)と75日線(約17,700円)をどちらも下回っています(10月27日時点)。25日線が75日線を下に抜けたのは8月5日で、それ以降は戻れていません。
下落の要因は、7月は特許をめぐる米国の陪審評決とAI関連株安、10月は米物価指標を受けた半導体株安、中国メモリメーカーの技術進展、SKハイニックスなどの大型投資への警戒と整理されています。一方、会社は設備投資を2026〜2028年度で年平均4,700億円に抑え、2027年のNAND市場は「需要が供給を上回る」と見ています。業績より将来の需給悪化への不安が下げの中心、という構図です。
信用買残の現状

10月23日時点の買残は4,823万株、売残は161万株で、倍率は約30倍です(10月1日の株式分割後の株数)。株価12,605円で換算すると、買残は約6,000億円超(筆者の概算)です。なお日々公表分では、10月15日に約9,200億円(当時の株価ベース)と全銘柄で最大だったと報じられています。
買残が多いと、次のことが起きやすくなります。
- 上値が重くなる。 買い方の返済売り(やれやれ売り)が、株価の戻る場面で出ます。平均的な買い値は現在の株価より高いとみられます(個人アナリストの推計で10月15日時点約18,870円)。
- 踏み上げは起きにくい。 売残が少ないので、空売りの買い戻しによる急騰は期待しにくい構造です。
- 下げると連鎖しやすい。 株価が下がって追証(追加の保証金)が発生すると、投げ売りが出ます。
決算の予測:3つのシナリオ
| シナリオ | 内容 | 想定される動き |
|---|---|---|
| ① 好感 | 10〜12月期の見通しが市場予想(約1.5兆円)以上 | 上昇。ただし戻り売りで伸びが抑えられる可能性 |
| ② 想定どおり | 7〜9月期は達成、見通しは市場予想並み | 材料出尽くしで方向感が出にくい |
| ③ 失望 | 見通しが市場予想を下回る、価格上昇の鈍化や設備投資の増額を示唆 | 下落。信用買い方の損失拡大で投げ売りが連鎖する恐れ |
どれが本命とは言えません。プラス材料はAI向けSSDの強い需要と自社株買い、マイナス材料は高いハードルと重い信用買残です。
大株主の売却
- ベインキャピタル: 2026年7月に幹部が「もう保有していない」と語り、全株売却が報じられました(ブルームバーグ)。そのとき株価は一時11%超上がったと伝えられています。ベイン系のSPCは、SKハイニックスの転換社債に絡む保有として、8月10日に筆頭株主になったと発表されています(保有の中身は一次資料で未確認)。
- 東芝: 市場で売却が続いています。保有割合は7月に15.10%、8月3日時点14.06%、9月7日時点12.84%、10月1日時点11.80%(10月8日提出の変更報告書)。変更報告書は遅れて出るため、実際はさらに減っている可能性があります。
東芝は約3か月で3ポイントほど減らしており、決算後や株価が戻る場面でも売りが上値を抑える可能性があります。一方、売却自体は市場に織り込まれているとの見方もあります。今後のペースは公表情報では分からないため、次の変更報告書で確認することになります。
TOPIXの浮動株比率見直しによるパッシブ買い
大株主の売却で市場に出回る株が増えたため、JPXは10月7日、キオクシアのTOPIX浮動株比率を15%から50%へ引き上げると発表しました。反映は2段階で、10月30日に32.5%、11月30日に50%です。連動ファンドの売買は前営業日の大引けに集中しやすく(個人アナリストの解説)、山場は10月29日と11月27日になりそうです。
買い需要は、報道では「10月と11月に約1.1兆円ずつ、計約2.2兆円」とされています。見るときの注意点は3つです。
- 試算であり、確定ではありません。 試算元は大和証券との解説がありますが、前提株価は確認できませんでした(7月にはSMBC日興証券の試算で約3兆円とも報じられています)。
- 株価が下がると金額も減ります。 買われるのは株数で決まるためです。ある解説は、7月試算の株数を10月7日の株価(17,900円)で買い直すと約1.9兆円と再計算しています。12,605円なら、筆者の概算で約1.4兆円前後です。
- 織り込み済みの可能性があります。 発表翌日の10月8日は一時4%超上がったものの、終値は前日並みでした。
日程の並びも大事です。第1段階の山場(10月29日大引け)は決算より前なので、決算後の追い風としては期待しにくく、第2段階(11月27日)が決算後に残ります。
決算をまたぐ前の戦略
- ギャップを覚悟する。 夜の発表なので、翌朝の寄り付きで値が飛び、逆指値が思った価格で約定しないこともあります。
- 信用取引は慎重に。 倍率が約30倍と偏った銘柄は、下げ局面で追証の連鎖が起きやすくなります。
- 決算後の反応を見てから動くのも一案。 10〜12月期の見通しと株価の反応を確認してから判断できます。
- 買うなら分割で。 現物なら、決算前後や数日に分けるとタイミングの失敗を小さくできます。
- 見るのは3点。 ①10〜12月期の見通しが約1.5兆円を超えるか、②NAND価格と出荷量のコメント、③設備投資方針と株主還元です。
決算後は、次の週次信用残で買残の増減も確認できます。買残が減りながら株価が下げ止まれば需給の整理が進んでいるサイン、増えながら下落が続けば警戒です。
更新履歴
- 2026年10月28日:初版公開





