ふるさと納税は9月中にすべき?2026年10月の制度変更をわかりやすく整理

ふるさと納税は9月中にすべき?2026年10月の制度変更をわかりやすく整理

目次

SNSで拡散している「ふるさと納税は9月中に」という話

 「ふるさと納税するなら絶対に9月中」「10月から改悪される」——最近、SNSでこんな投稿をよく見かけます。中には広告(パートナーシップ)タグの付いた投稿も混じっていて、どこまでが本当の制度変更で、どこからが煽りなのか、正直わかりにくいですよね。

 結論から言うと、2026年10月にふるさと納税のルールは実際に変わります。ただし、「今すぐ全員が9月中に寄付しないと損をする」というほど単純な話ではありません。影響の大きさは、返礼品や自治体によってかなり差があります。ここでは総務省の発表内容をもとに、何が変わり、何は変わらないのかを整理していきます。

実際に何が変わるのか:募集経費の上限が段階的に引き下げられる

 総務省は2025年6月24日に、「ふるさと納税の指定基準の見直し等」を公表しました。2026年10月から始まる次の指定期間からは、自治体がふるさと納税の募集にかけられる経費の上限が、段階的に下がっていきます。この経費には、返礼品の調達費や送料、ポータルサイトの手数料、ワンストップ特例事務や受領証発行にかかる費用などが含まれます。現行は寄付額の50%以下ですが、ここから徐々に引き下げられていく、というイメージです。

ふるさと納税の募集経費上限が2026年9月までの50%から2029年10月には40%まで段階的に引き下げられることを示す棒グラフ
総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し等」(2025年6月公表)をもとに作成

 スケジュールは次の通りです。

  • 〜2026年9月:50%以下(現行)
  • 2026年10月〜:47.5%以下
  • 2027年10月〜:45%以下
  • 2028年10月〜:42.5%以下
  • 2029年10月〜:40%以下

 総務省は今回の変更を、「自治体が実際に使える寄付金の割合を52.5%から60%へ引き上げる」と説明しています。要するに、自治体が使えるお金を増やすために、募集にかけられる経費の上限を少しずつ下げていく、ということです。

 なお、返礼品そのものの調達費用を寄付額の30%以下に抑える「3割ルール」は、今回は変更されません。ここは従来通りです。

 あわせて、返礼品として認められる「地場産品」の基準も明確化・厳格化されます。ここで少し注意したいのが、熟成肉や精米などの加工品についての「原材料は同じ都道府県内産に限る」というルールです。これは2026年10月から新しく始まるものではなく、実は2023年10月からすでに適用されているルールです。今回(2026年10月)新たに厳しくなるのは別の部分で、具体的には次の2点です。

  • 自治体のロゴを付けただけの返礼品は、過去1年以内の販売・配布実績の範囲内までしか数量が認められない
  • 区域外の原材料を使って区域内で製造・加工した返礼品(いわゆる「第3号基準」)は、製造事業者が「区域内で生じた付加価値が全体の50%以上」であることを証明し、自治体がその内容をウェブで公表することが義務になる

 やや細かい話に見えますが、要するに「本当にその地域ならではの価値があるか」を、これまで以上にはっきり示す必要がある、ということです。

327自治体の調査でみると、新基準に届いていない自治体は少なくない

 ここで気になるのが、実際にどれくらいの自治体が新しい基準をクリアできているのか、という点です。

 自治体DX推進協議会が2026年7月に公表した調査(2026年5〜6月、全国327自治体が回答)によると、2025年度の経費率は平均45.8%、中央値48.5%でした。中央値の48.5%は、2026年10月からの新基準「47.5%以下」を上回っています。つまり、この327自治体の調査結果に限って言えば、新基準に届いていない自治体が半数近くにのぼる計算になります。

 ただし、ここは誤解しないでほしいところです。これはあくまで327自治体を対象にした調査の結果であって、全国の自治体数(都道府県・市区町村を合わせて1,700超)からすればごく一部にすぎません。この数字をそのまま「全国の自治体の半数近くが新基準を満たしていない」と一般化するのは早計です。

 また、この調査は2026年5〜6月時点のものです。総務省がこの制度変更を発表したのは2025年6月なので、すでに1年以上が経っています。準備に早く動いた自治体は、この調査時点よりもさらに対応を進めている可能性があります。逆に言うと、対応がまだ進んでいない自治体では、10月以降、返礼品の内容や寄付額などが変わる可能性があります。

「ポイント付与禁止」と混同しない — それは2025年10月にすでに終わった話

 SNSの投稿では、経費上限の話と「ふるさと納税サイトのポイント付与禁止」がセットで語られていることがよくあります。でも、この2つは別物です。ポイント付与の禁止は今回の変更ではなく、2025年10月1日にすでに実施済み(ポイント付与ができた最終日は2025年9月30日)なんです。

駆け込みで注意したいこと

 では、制度変更前に寄付を検討するなら、どんなことに気をつければいいのでしょうか。押さえておきたいポイントは次の3つです。

  • 在庫切れ・受付終了:人気の返礼品や、経費率がすでに新基準を超えている自治体の返礼品は、9月中に受付を終了する可能性があります。欲しいものが決まっているなら、早めに確認しておきましょう。
  • 発送の遅延:駆け込み需要が集中する時期は、返礼品の発送がいつもより遅れがちです。年内に届けてほしい用途(お歳暮代わりなど)があるなら、余裕を持って申し込んでください。
  • 控除上限額を超えた寄付:年収や家族構成で決まる控除上限額を超えて寄付をすると、超えた分は単なる寄付、つまり自己負担になってしまいます。上限を確認しないまま追加で寄付をすると、この超過につながりやすいので、まずはシミュレーターで今年の上限額を確認しておきたいところです。

今年やっておきたいことの整理

 最後に、今年やっておきたいことを整理します。

  • 控除上限額シミュレーターで、今年の年収・家族構成をもとに上限額を確認する
  • 欲しい返礼品が決まっているなら、その自治体の経費率や受付状況(終了予定の告知が出ていないか)を確認する
  • まだ上限額を使い切っていないなら、年内(12/31)まで検討する時間はあるので、無理に9月中へ前倒しする必要はない
  • ワンストップ特例を使うか確定申告をするか、寄付先の自治体数(ワンストップ特例は5自治体まで)を踏まえて決める
  • 「10月から改悪」と煽る投稿が、制度変更(経費上限)の話なのか、すでに終わったポイント付与禁止の話なのかを見分ける  寄付に使うサイトを選ぶときは、主要サイトの特徴とキャンペーンを比較した「ふるさと納税サイト比較|主要12社の特徴と「お得」の中身」も参考にしてください。

まとめ

 2026年10月から、ふるさと納税の募集経費の上限が段階的に引き下げられるのは事実です。経費率が高い自治体では今後、返礼品の内容量や寄付額、募集方法などの見直しが必要になる可能性があります。「同じ寄付額・同じ返礼品」が10月以降も維持される保証はないので、欲しい返礼品がすでに決まっている人には、9月中の寄付を検討する理由があります。一方で、まだ決めていない人は、自分の控除上限額を確認したうえで判断すれば大丈夫です。