副業は本当に儲かるのか?平均収入データで見る現実と、始める前の注意点

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「副業でもしないと厳しい」と感じているのは、あなただけではない

物価は上がり続け、家賃も値上がりし、住宅ローンや借入の金利も上昇局面にある。加えて、AIの普及でシステムエンジニアをはじめとした専門職の先行きにも不透明感が増している。本業の給料だけでは心もとない、という感覚を持つ人が増えているのは自然な流れだろう。

実際、副業をしている人・したい人は年々増えている。総務省「令和4年就業構造基本調査」によると、副業がある有業者は305万人で、5年前(平成29年)に比べ60万人増加した。さらに、副業をしたいと考えている「追加就業希望者」は493万人で、5年前より93万人も増えている。関心の高まりは数字にも表れている。

問題は、「副業をやれば、実際にどのくらい儲かるのか」だ。ここでは景気のいい話ではなく、公的統計や調査データから見えてくる現実を整理したい。

平均月収は5.4万円。ただし「平均」を鵜呑みにしないほうがいい

Job総研「2025年 副業・兼業の実態調査」によると、副業経験者の実際の平均月収は5.4万円。一方、理想として思い描く平均月収は10.8万円で、実態と理想にはおよそ2倍の開きがある。

ここで注目したいのは、同じ調査が示す中央値3.0万円、最頻値1.0万円という数字だ。平均が5.4万円でも、実際に一番多いゾーンは月1万円前後にある。一部の高収入層が平均を押し上げているため、「平均月収5.4万円」という数字だけを見ると、実態より高い印象を持ってしまいやすい。

指標 金額
平均月収 5.4万円
中央値 3.0万円
最頻値 1.0万円
理想の平均月収 10.8万円

出典:Job総研「2025年 副業・兼業の実態調査」

別の調査(doda)でも副業全体の平均月収は約6.5万円とされ、年代別では40代以上が最も高く10万円近い副収入を得ているという結果が出ている。年齢や経験が上がるほど、副業でも本業の専門性を活かしやすくなる傾向がうかがえる。

さらに、収入分布そのものが二極化しつつある点も見逃せない。副業経験者全体では「月収5万円未満」が最多で26.8%を占める一方、「月収20万円以上30万円未満」の割合は14.4%まで上昇し、調査開始以来最多となった。「お小遣い稼ぎ」に留まる層と、本業並みの副収入を得る層への分化が進んでいる。

「儲かっている人」に共通するのは、本業スキルの延長線であること

Job総研の調査では、副業で月30万円以上を稼いでいる人の割合が高い職種として、「企業の経営者」(49.8%)、「広報」(43.6%)、「事業開発」(41.3%)が挙げられている。いずれも4割を超える水準だ。

共通しているのは、単純作業やスキマ時間の切り売りではなく、本業で培った専門性・人脈・意思決定の経験をそのまま外部でも使っているという点だ。「誰でもできる作業」は代替が利きやすく単価が上がりにくいが、「その人にしかできないこと」は単価が上がりやすい。副業の収入を大きく伸ばしたいなら、この原則から逆算して考えるのが現実的だ。

ジャンル別に見る、現実的な収入目安

副業と一口に言っても、性質はかなり異なる。代表的なジャンルを、収入の目安とあわせて整理する。

ジャンル 収入目安 特徴・注意点
スポットワーク(単発バイト) 時給1,000円台が中心 登録・稼働のハードルは最も低いが、収入は労働時間に比例する「時間切り売り型」
ポイ活・アンケートモニター 月数百〜数千円程度 損はしにくいが時給換算は低い。「稼ぐ」より「支出を減らす」感覚に近い
クラウドソーシング(Webライティング等) 月数千円〜数万円(初心者) 未経験だと1文字0.5〜2円程度の案件も多い。専門ジャンルを持つと単価が上がる
動画編集 1本1,000〜5,000円(簡易編集)/8,000〜50,000円(広告・ウエディング等) 編集ソフトの習熟と、案件の質を選べるかどうかで単価が大きく変わる
プログラミング・システム開発 小規模案件1〜5万円/小規模Web制作30万〜50万円/大規模は数百万円も 専門スキルが単価に直結しやすいジャンルの代表格。未経験は小規模案件から
せどり・転売 案件・相場次第で変動が大きい 仕入れ資金と在庫リスクを伴う。プラットフォーム規約や偽物リスクにも注意が必要

出典:クラウドワークス・ランサーズ等の相場情報、各種調査を基にkabuman編集部で整理

こうして並べると、「誰でも・今すぐ・高収入」が成立しやすいジャンルは実質的に存在しないことが分かる。収入を伸ばせるかどうかは、時間をかけて専門性を積み上げられるかどうかに左右される。

急拡大するスポットワーク。でも資産形成の近道にはなりにくい

タイミーの「スポットワーク市場・クォータリーレポート」によると、2025年のスポットワーク市場規模は約1,503億円と推計され、3年間で約4倍に拡大した。登録者数は2025年2月時点で約3,200万人にのぼり、日本の就業者数(約6,781万人)のほぼ半数に相当する規模になっている。

空いた時間にアプリで単発の仕事を見つけられる手軽さは、副業の入り口として優れている。ただし、時給労働である以上、収入の天井は「使える時間」で決まる。本業と並行して使える時間には限りがあるため、スポットワークだけで副収入を大きく伸ばすのは現実的に難しい。

資産形成という観点で見るなら、スポットワークは「まず副業に慣れる」「当面の生活防衛資金を作る」段階での選択肢として位置づけ、余力ができたら専門性を積み上げられるジャンルや、NISAなどを使った資産運用と組み合わせて考えるほうが、長期的には理にかなっている。

見落としがちな税金の話

副業を始める前に、税金の仕組みは押さえておきたい。

住民税を普通徴収(自分で納付)に切り替えることで対策している人もいるが、2026年度分から一部の自治体で、複数の勤務先を持つ人の普通徴収の選択肢を見直す動きが出てきている。運用は自治体によって異なるため、対策を検討する場合は事前に居住地の自治体へ確認しておくのが安全だ。

また、多くの会社では就業規則で副業に許可制・届出制を敷いている。トラブルを避けるためにも、始める前に自社の規定を確認しておきたい。

「誰でも簡単に稼げる」をうたう副業には要警戒

副業への関心の高まりに合わせて、「スマホだけで月収100万円」「誰でも簡単に高収入」といった勧誘によるトラブルも増えている。消費者庁には、令和6年7月以降、SNSの副業広告をきっかけに高額なサポートプランを契約させられ、実際には見合う報酬が得られなかったという相談が各地の消費生活センターに数多く寄せられているとの注意喚起が出ている。

情報商材に関する相談件数も、2013年度の872件から2017年度には6,593件へと7倍超に増加した経緯がある。「作業量がほとんどゼロなのに高収入」「今だけ・あなただけ」といった謳い文句は、儲かる副業の証拠ではなく、警戒すべきサインだと考えたほうがいい。

まとめ

データが示すのは、地味だが確かな事実だ。副業の平均月収は5.4万円、実際に一番多いのは月1万円前後で、「誰でも簡単に儲かる」副業は存在しない。一方で、月30万円以上を稼いでいる層には、本業のスキルや専門性をそのまま外部で活かしているという共通点がある。

まずはスポットワークやクラウドソーシングなど手を出しやすいところから始めて働き方に慣れつつ、時間をかけて専門性を積み上げられるジャンルへ移行していく、というのが現実的な道筋だろう。副業で得た収入をどう活かすかまで含めて、長期的な資産形成の一部として考えていきたい。