実家の空き家どうする?相続後の4つの選択肢とリスク

実家の空き家どうする?相続後の4つの選択肢とリスク

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「実家をどうするか」を決められないのは、あなただけではない

 親が亡くなり、実家を相続した。けれど自分はすでに別の場所で生活している。住む予定はない。かといって、貸すにも売るにも何から手をつけていいか分からない――。

 そう感じているとしたら、それは珍しいことではない。総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は900万戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最高を更新した。5年前の調査(849万戸)からさらに51万戸増えている。多くは、相続をきっかけに「誰も使わない家」になったものだ。

空き家率の推移(全国、1978年〜2023年)を示す折れ線グラフ。1978年7.6%から2023年13.8%まで一貫して上昇している
全国の空き家率は45年間右肩上がりで、2023年は過去最高の13.8%(総務省「令和5年住宅・土地統計調査」)

 1978年に7.6%だった空き家率は、その後の調査でも一度も下がることなく上昇を続けている。近年は上昇ペースがやや緩やかになっているものの、水準そのものは高止まりが続いており、「誰かの実家が空き家になる」ことが例外ではなくなってきていることが分かる。

 まずは焦らず、何を決めなければいけないのかを整理するところから始めたい。

「空き家率」の定義

 空き家率は、「空き家数 ÷ 総住宅数」で計算される。総務省の調査では、空き家は用途によって次の4種類に分けられている。

空き家の種類 内容 2023年の割合(空き家数に占める)
賃貸用の空き家 新築・中古問わず、賃貸募集中で空いている住宅 49.3%
賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 転勤・入院などで長期不在、取り壊し予定など、上記に当てはまらない空き家 42.8%
二次的住宅 別荘や、たまに寝泊まりする程度の住宅 4.3%
売却用の空き家 新築・中古問わず、売却のために空いている住宅 3.6%

 つまり、冒頭で紹介した空き家率13.8%には、アパートなどの賃貸募集中の空室も含まれている。相続した実家の放置のように「賃貸・売却の予定もなく、ただ人が住んでいない」状態に近いのは表の2番目の区分で、これだけで見た割合(総住宅数に占める割合)は5.9%になる。「空き家問題」というとき、この2つの数字が混同されがちなので、実家の状況を考える際は5.9%の方が実感に近い数字だと言える。

都道府県別に見る空き家率

 空き家率には地域差がある。同じ調査(2023年)の都道府県別データを見ると、最も高い徳島県(21.3%)と最も低い埼玉県(9.3%)とでは2倍以上の開きがある。地方部・過疎化が進む県で高く、東京圏や沖縄で低い傾向がうかがえる。

都道府県 空き家率 都道府県 空き家率
徳島県 21.3% 北海道 15.6%
和歌山県 21.2% 石川県 15.6%
鹿児島県 20.5% 福井県 15.6%
山梨県 20.4% 新潟県 15.3%
高知県 20.3% 福島県 15.2%
長野県 20.1% 熊本県 14.9%
愛媛県 19.8% 富山県 14.7%
山口県 19.4% 奈良県 14.6%
大分県 19.1% 佐賀県 14.5%
香川県 18.6% 大阪府 14.2%
岩手県 17.3% 茨城県 14.1%
長崎県 17.3% 兵庫県 13.8%
島根県 17.0% 山形県 13.5%
栃木県 16.9% 京都府 13.1%
青森県 16.7% 宮城県 12.4%
群馬県 16.7% 福岡県 12.4%
静岡県 16.7% 千葉県 12.3%
岡山県 16.5% 滋賀県 12.3%
三重県 16.3% 愛知県 11.8%
宮崎県 16.3% 東京都 10.9%
岐阜県 16.1% 神奈川県 9.8%
秋田県 15.8% 沖縄県 9.4%
広島県 15.8% 埼玉県 9.3%
鳥取県 15.7%

 全国:13.8%(都道府県の平均ではなく、全国の空き家数900万戸÷総住宅数6504万戸で算出した実数値)

 出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査」(住宅及び世帯に関する基本集計・付表)

知っておきたいこと:相続登記は義務化されている

 2024年4月から、相続登記が義務化されている。相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記をしないと、正当な理由がない限り過料の対象になり得る制度だ。

 「そのうち」と後回しにしているうちに、この期限を意識しないまま時間が過ぎてしまうケースは多い。「住む・貸す・売る」のどれを選ぶにしても、まず相続登記が前提になる点は押さえておきたい。

選択肢を整理する:住む・貸す・売る・そのまま

 実家の扱い方は、大きく4つに分けられる。

選択肢 メリット デメリット・注意点
住む 新たな住居費がかからない、実家を残せる 生活拠点を移す必要がある。立地・老朽化次第で住み替え費用がかさむことも
貸す 家賃収入が入る可能性がある 修繕・耐震・設備更新の費用負担。空室リスク。管理の手間
売る まとまった資金化ができる。維持コストがなくなる 相続登記や名義整理、片付け・解体が必要になることがある
そのまま(放置) 今すぐ何も決めなくていい 固定資産税・老朽化・近隣トラブルのリスクが時間とともに増える

 「今すぐ結論を出さなければいけない」わけではないが、「そのまま」を選び続けることには、後述するように制度上のコストが伴う。

「そのまま」を選び続けるとどうなるか

 空家等対策特別措置法は2023年12月に改正され、放置に対する規制が強化された。

 以前は「特定空家」に指定されて初めて税負担が増える仕組みだったが、改正後はその一歩手前の段階でもリスクが生じるようになった。「判断を先延ばしにするコスト」が、以前よりはっきりした形になったと言える。

「売る」と決めたら、最初にすること

 住むあてもなく、貸すための費用や手間もかけられないなら、「売る」は現実的な選択肢の一つになる。実際に動くとしたら、順番はおおよそ次のようになる。

  1. 相続登記を済ませる(または並行して進める): 売却には名義を相続人に移す手続きが前提になる。
  2. 家の中を整理する: 遺品整理・残置物の処分が必要になることが多い。
  3. 不動産の価値を把握する: 自分で判断せず、複数の不動産会社から査定を取り、相場観を持つ。
  4. 査定結果を比較し、依頼先を決める: 会社によって得意な物件タイプ(戸建て・古家・再建築不可など)が異なるため、1社だけで判断しないほうがよい。

まとめ

 実家の空き家をどうするかは、正解が決まっている問題ではない。ただし、相続登記の義務化や、2023年の法改正による放置コストの増加を踏まえると、「何も決めずに時間だけが過ぎる」状態は、以前より不利になりやすい。

 住む・貸す・売る・そのまま――どれを選ぶにしても、まずは自分の実家が今どのくらいの価値になるのかを知ることが、判断の出発点になる。